使用教材対象者(お子さんの年齢と英語のレベル)
✔年齢:幼児~小学生
✔レベル:初級者~
と悩むパパ・ママはいらっしゃいませんか?
今回、私が公立小学校で絵本の読み聞かせボランティアをした様子をご紹介します。今月は1月。お正月に少し関連した「rice cake(餅)」の英単語を紹介できる絵本『The Rolling Rice Ball(おむすびころりん)』を用意しました。
こんにちは。英語講師のAKIKOです。公立小学校で英語絵本の読み聞かせボランティアもしています。実際に読み聞かせをするにあたり、準備から、読み聞かせのポイント、子供達の反応等をまとめました。是非、お子さんに読み聞かせる際の参考にされてくだされば幸いです。記事を書いているこの先生はどんな人? → こちらをご覧ください♪
公立小学校での読み聞かせボランティアとして
今学期(2021年9月~2022年3月)、公立小学校での読み聞かせボランティアをしています。今月は1月。第3回目の読み聞かせが行われました。
私は、毎回英語の絵本を読み聞かせています。子供達がどのような反応をするのかワクワクしながら、準備に取り掛かりました。
第3回読み聞かせ
- 対象:小学4年生(約30人のクラス)
- 時間:朝の10分間
- 読み聞かせ方:プロジェクター
- 読み聞かせ月:1月
上記の条件で、「小学4年生が興味を持ち、今の季節に合った内容で、そこから何かを学べて、尚且つ10分間楽しめる1月の絵本はどのようなものだろうか?」と考えました。
何を準備したの?
- step1絵本選び
- step 2時間配分・絵本の他に必要な小物は?
- step 3
巻末の原文を読み、日本語訳の確認をする。
- step 4音読練習
英文音読練習
英文+和訳mixの音読練習
それでは、詳細を1つずつ説明しますね。
絵本選び
今月は1月。1月といえば、新年・お正月。お正月に関連した「rice cake(お餅)」の英単語を紹介したいと思いながら絵本を探していたら、皆になじみのある『The Rolling Rice Ball(むすびころりん)』の中でネズミがお餅つきをしているシーンがあったことを思いつき、この1冊を今月の本に選びました。
小学4年生には、
- 幼稚すぎるのか?
- 内容は既に日本語で理解しているので、英語バージョンになっても、興味を持ってくれるのか?
という課題もありますが、楽しんでもらえる1冊になると信じて用意しました。
『The Rolling Rice Ball』 文・絵 by Yoko Imoto, 英訳 by Soshi Uchida, 出版社:岩崎書店
こちらの絵本は、岩崎書店より2000年に「はじめてのめいさくえほん3」として出版された、いもとようこさんによって描かれた文・絵による「おむすびころりん」を、Soshi Uchidaさんが英訳した英語版です。いもとようこさんによる癒される挿絵にも皆さん馴染みがあるのではないでしょうか。
巻末には、いもとようこさんの原文(日本語)が紹介されており、和訳と英訳を照らし合わせて読むことができます。また、本文を英語で読み上げてくれるCDが付属品として付いています。収録されている音声はゆっくりなので、流れる音声に合わせて音読練習をするには最適な音源です♪
時間配分・絵本以外に必要な小物は?
前回もご紹介しましたが、英語絵本を以前読み聞かせた人から、「英語で絵本を読み聞かせると、意味が分からなくてつまらないのか、歩き回って聞いてくれない生徒がいた」というお話を聞きました。
確かに、、、
理解出来ない音をずっと聞かされるのはつまらないですよね。では、それを飽きさせないようにするにはどうすれば良いのでしょうか?
それは、、、、絵本の内容を日本語でも読んであげる必要があるのではないかと私は思います。
ということで、今回も『 The Rolling Rice Ball 』を読む際、私は意味の区切りである、句・節・文の節目の内、意味が分かりやすい節目に、日本語訳を挟んで読む事にしました。(このような読み進め方をスラッシュリーディングと呼びます)
そして、今回の本は22ページに渡るので、初めから最後まで、一度だけ通しで読もうと思います。英語+日本語のmix音読をしてみましたら、6分30秒で読み終わりました。
では、読み終わり残った時間には、2つの英単語を覚えて帰ってもらうための、クイズを出すことにします。ターゲットは「rice ball (おむすび)」と「rice cake (餅)」の質問をするために、このように事前に英単語を書き出した「スケッチブック」を準備しました。更に時間があれば「r」の音のお手本を見せたいので「グミ」も用意しました。
- クラスの生徒皆へ、「おむすびは英語で何て言ってたか分かる人?」「お餅は英語で何て言ってたかな?」と質問をする。
- どのように「r」の発音をすれば良いのかを教えて、皆で言ってみる!!
※「r」の発音の教え方は下の動画内「Phonics」コーナー5:10~をご参照ください。
他にもPhonics(英語の音とスペルの関係性)について詳しく知りたい方は、こちらも参考にされてください。↓
巻末の原文から日本語訳を確認する
「英文の後に日本語訳も入れて読む練習をしよう」と決めたので、当日すらすら言葉が出るように、英文の音読だけでなく日本語訳も練習します。
こちらの絵本には巻末に原文(日本語)が書かれているので、読み聞かせの際に日本語訳の参照元とすれば、 「自分の訳す日本語は正しいだろうか?」 と不安にならずに済みます!! ですので、英語が苦手なパパ・ママもこちらの絵本を使えば、英文+和訳が簡単にできますよ。
他の絵本を読む時に、和訳が不安な時は、、、
英文音読練習
それでは、実際に音読練習をします。
生徒達は、馴染みのある「おむすびころりん」の内容を思い出しながら、英文を聞くことになります。話の全体像のイメージは掴めるのですが、抑揚のない音だけを聞いてもその音が何を示しているのか詳細にイメージすることは難しいです。
英文+和訳Mixの音読練習
ー和訳も付けた音読についてー
The old man(お爺さん)という英単語は常に絵本の中に出てきます。ですので、絵を指させば子供達が理解できる英単語は和訳しません。このように、絵を指さすだけでイメージ化できるものに対しては、英語で読むだけでそのまま理解させます。
そして
If I meow now, both baskets will be mine to keep.(しめしめ、ここでにゃんこのこえをだせばふたつともわしのもの・・・)
文・絵:いもとようこ 英訳:Soshi Uchida『The Roiling Ricw Ball』(岩崎書店、2012年)
上記のような文の場合は、一文(英文)を読んでから日本語訳を言うのではなく、子供達にスラッシュリーディングの感覚を伝える為に、、、つまり、意味の塊ごとに訳していく読み方を知ってもらう為に、次のように区切り、和訳を入れて読む練習をします。
If I meow now,/もし今わしが猫の鳴き声をしたら/both baskets/両方の箱が/will be mine to keep./わしのものになるじゃろう。
このようにスラッシュリーディングで読みながら、視覚からの情報(挿絵の指さし)も取り入れ、さらに抑揚をつけた話し方をすることによって、子供達の興味関心を絵本の世界へ導けるのではないでしょうか。では、本番までにスラスラ読めるように練習します。
当日の読み聞かせ
初めに教室に入り、自己紹介をした後に、クラス全体に質問を投げかけてから読み聞かせをスタートしました。
『The Rolling Rice Ball』の読み聞かせ
生徒:(約半数が手を挙げる。)
AKIKO:「では、英語が苦手だなーって人?」
生徒:(約半数の手が挙がる。)
AKIKO:そうなんだねー。それでは、今日は英語が好きな人も苦手な人も皆に楽しんでもらえるように、英語だけでは意味が分からなそうな部分には日本語を混ぜて読みます。「最後まで一緒に楽しんで聞いてくれると嬉しいです。」では、始めます。
そして、絵本を読み終えると残りが2分ほどあったので、次のようなQ&Aをしてしめくくりました。
AKIKO:では皆に質問をしたいと思います。「絵本の中で『おむすび』が出てきたと思うんだけど、『おむすび』を英語では何て言っていたか分かる人?」と生徒皆に問いかけると、
Students: 4~5人が手を挙げており、その中の1人の男の子が「rice ball」と答えてくれました。
AKIKO:ありがとう。そうだったね。riceはお米だよね。そのお米を丸くボールにするから rice ball って言うんだね。では次の質問、「『お餅』を英語では何て言っていたか分かる人?」と問いかけると、
Students: 2人が手を挙げており、その中の1人の女の子が「rice cake」と答えてくれました。
AKIKO:ありがとう。そうだったね。cakeはケーキの事だよね。お餅っていうのは、「お米のケーキ」って英語では表現するんだね。お正月に、切り餅を食べなかった?その形、四角くてケーキっぽくない?だからなのかなー?お餅はrice cakeって言うんだね。では皆、お家でお母さんに、「お腹すいたよー。 rice cakeが食べたいなー。」って感じで、rice ball(おむすび)やrice cake(お餅)を家族皆の会話で使ってみてね。
残りの2分間はあっという間に終了してしまい、発音練習まではできませんでした。ですが、質問をしたことにより子供達の関心を「覚えて欲しい2つの英単語」に向けられたのではないかと思いました。
『The Rolling Rice Ball』生徒の反応
■結果
今回の4年生のクラスは前回の5年生のクラス同様、落ち着いていました。こんなに、しずかに話を聞いてくれるとは思いませんでした。一方、質問タイムでは、「へー、ごはんをボールみたいにするから、おむすびはrice ballっていうんだー」という声が聞こえたり、「お餅、俺、いっぱい食べたよー」など、また「お餅ってケーキじゃないと思うんだけどなー」などの双方向による会話が出来ました。
また、既に日本語で内容を知っている本が英語で読まれたということで、英語に対する苦手意識が払拭われてリラックスしながら聞いていてくれたような印象でした。「内容が幼稚すぎるのではないか」と読み始める前は心配しましたが、その必要はありませんでした。むしろ英語となると、事前に内容を理解している内容であればよりリラックスして英語の話に耳を傾けられるようでした。
今回使用した絵本とそのシリーズ全8巻の紹介
今回の絵本は、 『The Rolling Rice Ball』 文・絵:by Yoko Imoto, 和訳:Soshi Uchida
「人気作家:いもとようこ」さんの、その他のシリーズもご紹介しておきます!! 英語と日本語のどちらでも読み聞かせが出来る仕様になっていますので(※巻末に日本語版が付録されています)、興味がある絵本は何冊か同時購入して、本棚を昔話でいっぱいにしてあげるのも素敵ですね。
まとめ
とにかく、大人から絵本を読んでもらう時間が子供は大好き。そして、やはり意味が分かる内容を聞くことで楽しさが増すのだと感じました。
子供達は、
- 既に日本語で内容を知っている本を英語の絵本読み聞かせに使用したこと→英語に対する苦手意識を減らして、英語に耳を傾けられた。
- 「英語ってこうやって読むんだ」という体験ができた。(意味の区切り毎に訳すスラッシュリーディング//を採用しました。)
を通して、英語の絵本を楽しめたのではないでしょうか?このように、3回目の読み聞かせは無事に終了。次回も楽しい絵本の読み聞かせをご報告したいと思います。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
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